分福茶釜

必要十分と、少しの贅沢

家をホテルのような空間にしたい

頭の中がごちゃごちゃする。

目から入ってくる情報が多くて疲れてしまうのかもしれない。

この部屋に引っ越してきたのは2年前だというのに、

まだ引っ越しの段ボールなんかがあったりして忌々しい。

 

自分の荷物ならまだしも、キッチン用具とか、

家族のものが入っているから処分に困る。

 

自分の部屋にいるだけで疲れてしまうというのは、なんとも悲しいことだなあと思う。

 

ついこの前、ずっと捨てようと思いつつ

未練がましく部屋の片隅に固めていた古い服を思い切ってゴミ捨て場に置き去りにしてきた。

そうしたら部屋が少し広くなって、すうっと風の通りがよくなった感じがした。

 

まだ着れる服が多く、ずっと部屋に置いていたのだけれど、手放しても、私の生活に何の不都合もない服たちだった。

 

そんなものが、私の部屋にはまだたくさんあるのだと思う。

 

こんな風に部屋にいるだけで頭がごちゃごちゃしてしまうときには、

ホテルのようなシンプルな空間に逃げ込みたくなる。

 

思えばホテルの部屋は、不要なものがほとんどない。

余計な情報がなくて、心が落ち着く。

 

自分の部屋も、自分の生活になくても何の影響もないものは全て捨ててしまいたい。

ずっとそこにあることは知っている、

あの衝動買いした蛍光みがかった色の大量の韓国製のリップカラーも、

まだ着れそうだと思って1年以上箪笥に眠らせてあるあの黒のスカートも。

目に見えないところに仕舞い込んでしまうのではなく、全て捨ててしまえばいいのだ

 

捨てるときの一瞬が辛いだけなのである。

 

それは、どこに置いてあるかの問題で、

自分の部屋にあるのか、ゴミ処理場で燃やされて溶けているかの違いだけなのである。